大人たちよ、いつまでその理想を引きずっているんだ? だから20代は結婚しないのだよ!
こんにちは。ひねくれ亡者です。
6月21日、明治安田生命生活福祉研究所の調査によると、20代独身男女の結婚したい割合が大幅に減少した。
www.nikkei.com
男女共に、「できるだけ早く結婚したい」「いずれ結婚したい」という考えから、女性は、「年収400万円以上が結婚の条件」「結婚したいと思える相手がいない」と思う人が多くなり、男性は、「家族を養うほどの収入がない」と思う人が多くなった。
この記事を見ても、男性と女性のギャップの差が大きくなっていることがわかる。
なぜ、ここまでして結婚したがらないのか?このような原因を、恋愛しない若者たち コンビニ化する性とコスパ化する結婚 (ディスカヴァー携書) 牛窪 恵(著)を参考にしながら紹介します。
目次
- 結婚までの道のりを遠ざけている要因は?
- 結婚に関する考え方の変化と歴史
- 現代における結婚の変化
結婚までの道のりを遠ざけている要因は?
現在、結婚してくない20代が多いと言われる要因とはなんだろうか?
1.バーチャルリアリティ化と何でも空気を読む監視社会。
ここ数年、バーチャルリアリティー化が止まらないだけでなく、これらのマーケティング化が進んだ。例えば、恋愛ゲームの登場(ときメモ等)、AKB48の様な実際に会いに行けるアイドルの登場、Twitterやfacebook、LINE等のSNSの普及、本家VRの発展が主に挙げられる要因だろう。
そして、バーチャルリアリティになれた20代は、リアルの状況が精神的に「重い」と感じる人が多くなった。
理由としては、自分の欲求を発散する場所が限られ、手軽になった反面、80年代~90年代の金銭、時間、価値観と、現代の金銭、時間、価値観は全く違うものであるのに、結婚までの道のりの感覚自体は全く変わっておらず、ネットが発達してもリアルが重くなり、結婚までの道のりに嫌悪感を抱く人多くなった。
そして、80年~90年代には無い、バーチャルリアリティーの一つであるSNSの発展が、親や学校教育の「締めつけ」が強くなるだけでなく、その場の空気を壊さないようにお互いに監視する監視社会の時代へと進化した。
2.「男らしさ」「女らしさ」が理想の社会で育った年上の人と「男女平等」が理想の社会で育った20代のギャップとジレンマ
昔(1970年代)は、「男は男らしく」、「女は女らしく」と言われ、結婚後は、男は「仕事」、女は「家庭」という理想が常識とされる時代であった。
しかし、1985年、「男女雇用機会均等法」が制定、1999年には、「男女共同参画基本法」が成立され、男女平等の理想が進んでいった時期である。
ただし、社会は男女平等の社会でも、実際の結婚に対する両者の理想としては、「男は男らしく」、「女は女らしく」と未だに昔の理想を引きずっている人が多い。
また、結婚後の生活でも男性は女性に対し、「専業主婦」を望み、女性は男性に対し、「仕事一本でで稼いで欲しい」と望んでおり、社会は男女平等の理想を推している一方、人間は昔の理想を推している。
したがって、現代において昔の理想と現代の理想の大きな乖離が20代が「結婚したくない」と答えるひとつの要因となっているのではないのか。
3.バブル崩壊と長引く不況が招いた「ワークライフバランスが保てない世界」
現在、男女ともに雇用形態関係なく「明日が我が身」となっている人は多い。
男性の場合、今回のニュースでも記載しているが、未婚女性が望む平均年収が400万以上ある20代男性の割合が15.2%と非常に低い位置にとどまっている。
したがって、プライベートを重視したくても残業代稼ぐために長時間労働をしないと生活できない状況で、ワークライフバランスなんて保てるわけがないため結婚に向けての物事や時間、お金を掛けることができないという現実がある。
一方、女性の場合、男性と同様に自分自身の生活でいっぱいであるのが現実だけでなく、昔の理想であり女性らしさの条件をを男性が持っている人が未だに多いことも挙げられるだろう。
ただし、両者に言えるのは、人のための生活より自分自身のための生活を充実しようという人が多くなったということだろう。
結婚に関する考え方の変化と歴史
日本の結婚に対する考え方の変化はどの様に辿って行ったのか?時代ごとに追ってみる。
1.平安時代
平安時代は、一夫多妻制の時代であったため、「婿取り婚」が基本で結婚後も共働きで支えていた夫婦が主流であった。
現代は、一夫多妻制ではないが、婿養子になる男性も多くなり、共働き世帯も多い。
平安時代は、現代と似ている部分が多くあったのではないと思う部分がある。
2.鎌倉時代~戦国時代
結婚に関する考えが大きく変わったのは、鎌倉時代からの武家社会である。
これが長年続く、「男は男らしく」、「女は女らしく」という理想の出発点でもある。
鎌倉時代からの武士の時代は、「婿取り婚」から「嫁取り婚」が主流となった。
理由として、「家を継ぐ」ことが武士の基本であり、女性が政略結婚の道具とされ、財産まで男性とその男性の実家が握ることとなった。
3.江戸時代
江戸時代からは家父長制が強くなり、「家」を中心に婚姻を取り決めるようになった。
このような家父長制が近年までの見合い婚に近似した形が広がっていった。
しかし、農村部と都市部では考え方が大きく変わっていた。
農村部では、農業主流のムラ社会にとって「人」重要だったため、結婚をしても村中の人々が皆知っていた「皆婚」状態であった。
一方、都市部では、出稼ぎが多く男性過多の社会であったため、女性においても結婚と割り切って遊ぶ人が考えの人が多かった。
5.大正時代
見合い結婚が主流の時代である。1898年に交付された「明治民法」の制定により以前の「家単位」に委ねてきた結婚を法制度に組み込んだ。
しかし、現実は家や家計を守る責任もあり、結婚自体も家長の許可なく男女の「好き」同士の結婚は周りの目やリスクが多いという考えが多く、国としても、「家(戸主)」の意思が結婚の前提であった。
6.戦後、昭和時代
戦後の昭和時代は、高度経済成長と都会の人口集中によりサラリーマンが増加した。
そのため、1960年代~70年代にかけて男性は「家(戸主)」の意思ではなく、会社内での派閥の中で出世コースに乗る「大人の事情に」より職場内で女性の婿探しを行い、誰もが結婚するのが当たり前な時代であった。
こうして見ると、根本的に武士の時代から結婚に関するの根本的な考え方はほぼ変わらない。長期間、結婚に関する考え方が続いていることにある意味感心するが、現代は大きく変わりつつある。
現代における結婚の変化
現在、武士の時代から続けられてきた根本的な結婚に関する考え方から大きな転換期を迎え、多様な価値観を持った人達が知恵を出し合う「ダイバーシティ」求められている時代でになっている。
そのため、「年の差婚」や「グローバル婚」、最近話題となった「同性婚」など、多様化した結婚が増えている。
この様な多様化している結婚の変化に応じて、大人たちが真剣に目を向けるべきなのである。
しかし、その張本人である大人たちが、変化に逆行し長年続いた旧来の理想を強いられている。
社会状況が変化しても旧来の理想を強いられている。
本当にここまで良いのか?
いつまで古い理想を引きずっているのか?
個人だけに言えることではない。世間がそういう古い理想を良しとする風潮であることが20代に大きなギャップを生んでいる。
このギャップを埋められない限り、結婚したいという20代は増えないと思う。
今の世の中、ギャップを埋められるだけの余裕がないんだよ!
変われとは言わないが、少しは理解して欲しい。
だから、敢えて言う。
大人たちよ、いつまでその理想を引きずっているんだ? だから20代は結婚しないのだよ!
今回参考にした本です。今の結婚に関する認識が変わります。
恋愛しない若者たち コンビニ化する性とコスパ化する結婚 (ディスカヴァー携書)
- 作者: 牛窪恵
- 出版社/メーカー: ディスカヴァー・トゥエンティワン
- 発売日: 2015/09/26
- メディア: 新書
- この商品を含むブログ (1件) を見る